例えば、日本で会社を経営する人が、フィリピンからスタッフを呼び寄せたい場合に考えられる在留資格について解説していきたいと思います。大きく分けて以下2パターンがあります。
① 新たに日本で雇用する場合
雇用する外国人のスキルや雇用元の事業などによって該当する在留資格が異なります
② すでに雇用している外国人(勤続1年以上)を海外から呼び寄せる場合
「企業内転勤」となります
なお、フィリピンには「海外で就労するフィリピン人の方の適正な雇用の創出と、フィリピン人の方の権利や労働環境を保護する」ための政府機関(移住労働者省:DMW)があり、この政府機関を通しての雇用が必要となります。
(コラム「フィリピン人の方が日本で就労する際の独自ルールについて」参照)
以下に取得の可能性のある在留資格を記載します。
1. 技術・人文知識・国際業務
適用範囲: 専門的知識や技術を必要とする職種
例:機械工学等のエンジニア、通訳、デザイナー、語学教師・マーケティング、IT関連業務など
要件:大学卒業以上の学歴または職務に関連する実務経験が10年以上
(「国際」の場合は学歴要件はあるが実務経験は不要)
日本での雇用契約があり、給与が日本人と同等以上
2. 技能
適用範囲: 特定の技術や技能を持つ人材
例:外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属の加工職人、大工、伝統工芸技術者など
要件:対象となる技能についての実務経験(通常10年以上)が必要。日本国内で需要のある専門技能
3. 特定技能(1号または2号)
適用範囲: 特定分野(不足する人材を確保)
例:介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、
鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業
要件:技能試験と日本語能力試験(通常N4以上)をクリアする必要がある
特定技能1号では、家族の帯同が基本的に認められない
4. 企業内転勤
適用範囲: 日本に本店・支店その他の拠点を持つ海外企業や関連会社から派遣されるスタッフで、
「技術・人文知識・国際業務」にあたる活動
要件:派遣前に海外での関連会社勤務経験が1年以上必要
日本の会社に雇用契約がある場合は適用外
5. 経営・管理
適用範囲: 日本で新たに会社を設立し、または既存会社を運営する経営者や管理者
要件:事業計画の明確性、会社のオフィス確保
最低500万円の出資または十分な事業資金の証明
6. 技能実習
適用範囲: 日本で技能を学び、母国に帰国後に活用する目的での研修
要件:技能実習生として登録し、監理団体を通じた受け入れ
7.その他、該当する可能性のある就労系在留資格
高度専門職、法律・会計業務、医療、研究、教育、介護、興行の在留資格が該当の可能性があります
8.家族(配偶者・子)と共に入国する場合
扶養を受ける配偶者又は子の在留資格は家族滞在となります
実務上の注意点
スタッフの在留資格申請には、雇用契約書、職務内容の説明、給与条件などの具体的な書類が必要です。入国管理局に提出する書類や手続きは、専門家(行政書士や弁護士)に相談するのが一般的です。
適切な在留資格の選択は、スタッフの業務内容と条件により異なるため、具体的なケースについては入国管理局や専門家に相談してください。当事務所では、このようなご相談も受け付けております。JR常磐線「金町」駅より徒歩4分、外国人の在留資格(ビザ)取得申請サポート専門の行政書士がお待ちしております。